ある小説の中に、世界を旅して「何を祀ってあるのかわからないんだけど、地元の人が拝んでいるものには手を合わせることににました。そうしたら、なぜか商売がうまくいくようになったんですよ」というフレーズがありました。SFだし、本筋とはまったく関係ないんだけど、心に残った一節です。そんなわけで(どんなわけで?)、日々の何気ないできごとを綴ってみようかと思います。
2008/01/11  (金) 

常寂光寺

大河内山荘の庭園の下ぐらいに当たるところに「御髪神社」という小さな社がありました。日本で唯一の髪の神社だそうです。美容師さんや理容師さんがよく訪れるのだとか。きれいになりたい人はお参りするといいそうです。御髪神社の前には小倉池がありました。水は濁っているのですが、山を映した鏡池になっていてなかなか風情があります。
 
池を通り抜けるとそこは常寂光寺。紅葉が見事なことで有名ですが、それは大幅に手遅れ。でも、寒椿もきれいだと聞いていたので、こちらはどうかなと思ったらフライング。山茶花も終わってしまったばかりで、ちょっとうら寂しい風景です。
 
やはり小倉山の中腹の斜面にあるので、境内から嵯峨野を一望できます。重要文化財の多宝塔の上から眼下に広がる街、連なる山々を堪能しました。平安時代に藤原定家の山荘「時雨亭」があったところだそうですが、やっぱり平安貴族は風流ですね。
 
常寂光寺は16世紀末に日モニいう日蓮宗の上人によって開かれたのですが、土地は角倉了以が寄付をしたものだとか。戦国時代の京都の豪商、と教科書で習ったような気がしますが、それにしてもスケールの大きな金持ちだったのでしょう。堂塔伽藍は小早川秀秋などの大名が寄進したそうです。
  
藁葺きの仁王門は南北朝時代の建築で本圀寺から移築されたもの、本堂は伏見城の客殿を移築したもの。500年前、600年前のものが普通にあるなんて、やっぱり京都ってすごいですよね。とはいえ、そこら辺の日本史は頭が空白。わけがわかなくても、風景だけを楽しみ、深くは考えないことにしました(笑)



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2008/01/10  (木) 

大河内山荘

京都には何度か訪れているものの、郊外へはあまり行ったことがありませんでした。今回は街をちょっと離れ、嵯峨野散歩。月並みだなぁと思いつつ、恋に疲れているわけでも人生に悩んでいるわけでもないので♪大原、三千院……はやめて、嵯峨野にしました。京都っ子にお勧めいただいたのが、大河内山荘です。
 
JR嵯峨嵐山駅を降りて、山荘に向かう道は、素晴らしい竹林でした。季節外れのウィークディですから、行き交う人も少なく、「静けさが迫ってくる」、というのは妙な表現ですが、そんな感じでした。ピンでも落としただけですごく響きそう。いかにも日本的という風情を感じます。
 
竹林を抜けると、大河内山荘の入り口。ここは、大河内傳次郎(1898−1962)の別荘だったそうです。大河内傳次郎って、確か俳優だったよなぁぐらいの知識しかなく、庭園の中にある記念館ではじめて「丹下左膳」で有名な人だと知りました。そう言われれば、聞いたことがあります。生きていれば110歳、明治生まれの人ですから、ここを訪れる人もリアルタイムで知っている人は少ないと思いますが、みんな名前ぐらいは聞いたことがあるという感じで、すごっく有名な人だったんですね。
 
この庭園は、1931(昭和9)年、大河内傳次郎34歳のときから、自身で設計して造営を始めたそうです。映画出演料の大半を注ぎ込み64歳で亡くなるまで30年をかけて作り上げたものといいますが、個人でこんなすごい庭園を作ってしまうなんて、すご過ぎる! 当時の映画俳優って、きっと今よりすごいステータスだったんでしょうねぇ。
 
場所は小倉百人一首でも知られる小倉山の南東面。約2万平方メートルの敷地があるそうです。回遊式庭園というのだそうですが、庭園の中心となる大乗閣という建物のあたりからは、背景に嵐山、遠くに比叡山、大文字、東山三十六峰などを眺めることができ、まさに嵯峨野を一望。建築はまったくわかりませんが、大乗閣は、寝殿造、書院造、数寄屋造など日本の住宅の伝統的様式を合わせて取り入れたものだそうです。
 
庭園は高低があり、いろいろな表情を見せていて、見事なものです。足元の踏み石に気をとられ、下を向いていた顔を上げると、そこに絶景が広がっていたり、植え込みを曲がるとまた違った風景に出会えたり。来てよかった〜、ほんとに。入園料にはお茶席券がついてくるので、庭園を廻った後に緋毛氈のお茶席で一服のお茶をいただきました。春には花の、秋には紅葉の絶景が見られるようですが、冬枯れの庭と山々を眺めながらの一服も捨てたものではありません。



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2008/01/09  (水) 

夜の京都、そぞろ歩き

京都は古い街でもありますが、刻々と変貌を遂げる新しい街でもありますね。町屋を改造したおしゃれなお店が増えているという話を聞いています。ゆっくり街歩きもしてみたいなぁと思っていたのですが、今回、京都っ子のご案内を得ることができて、変わりゆく街も楽しむことができました。
 
まず、連れて行ってもらったのが「新風館」。ここはいわゆるテナントビルですが、建物は1926(大正15)年に京都中央電話局として生まれた洋館で、1983(昭和58)年に京都市登録有形文化財第1号に登録されたものだそうです。レンガ造り風の外観、レトロな雰囲気が特徴で、2004年度のグッドデザイン賞建築・環境デザイン部門、第12回BELCA賞ベストリフォーム部門を受賞したそうです。屋台型店舗を出したい人は京都市の助成が受けられるとか。 テナントは30社以上で、中庭には小さなステージも設えてありました。
  
路地を気まぐれに曲がって歩いていると(友だちは「あみだくじ」歩きと言ってます)、雑貨屋や料理屋など新旧とりまぜて思わず首を突っ込んでみたくなるお店が立ち並んでいます。

  

絵葉書、写真ではなく絵だけの絵葉書をたくさん並べているショップは、見てるだけでも楽しかったです。京野菜を売っているお店にも興味津々。高価なので、なかなか手が出ないのですが。
 
税金回避建築(笑)、「うなぎの寝床」という表現は有名ですが、先斗町を歩いていると、狭い路地がそこかしこにある、本当にこれが実感されます。中には行き止まりもありますが、「通り抜け禁止!」ではなく、どこも「通り抜けできまへん」と書いてあるので、無理やり押し入るのははばかれますね(笑)
  
松の内は過ぎましたが、店先などに飾られている門松が関東とは違うことも発見。一番の違いは、どれも「葉牡丹」があしらわれていることではないでしょうか。私は「なんでキャベツ?」と無粋なことを叫んだのでした(^_^;) 関東で見かける門松は真ん中に大きな竹が3本、周りに松があしらわれ、たぶん、梅とお飾り……ではないでしょうか? 京都はどちらかというと小ぶりの竹で、松が生きがよかったように感じます。

  



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2008/01/08  (火) 

伏見奉行所跡

伏見は、平安時代には鳥羽と並んで貴族の別荘地として聞こえた土地だったそうです。港町だった伏見に豊臣秀吉が伏見城を築いたことから、城下町として発展。京都と大阪をむすぶ淀川を行き来した「くらわんか」の三十石船が有名ですが、そういえば寺田屋も船宿でしたね。夏になると舟遊びの観光プランもあるようです。伏見城の跡地が伏見奉行所です。
 
伏見といえば、佐幕派にとっては(笑)やっぱり寺田屋より伏見奉行所跡です。ここへ行くのを楽しみにしていましたが、当然、鳥羽・伏見の戦いで壊滅してしてまって、石碑がぽつんと立っているだけだということは知っていたので、突然、復元されていた……なんてことを期待していたわけではありません。明治以降、陸軍工兵隊の基地となり、戦後は米軍に接収され日本に返還された後は市営桃稜団地になったと入り口に説明板が掲げられてありました。

 <団地は酒蔵風の外装>
ちょうど140年前のいまごろ、1868(慶応4)年1月3日、御香宮神社に布陣していた薩摩軍は伏見奉行所に砲撃開始。土方歳三は戦局を打開しようと永倉新八らを、御香宮神社に斬り込ませるが……という場面がありました。伏見奉行所を基地にしても「御香宮神社を押さえておかなければ、そこに薩長が陣取ったらお終いだ」と土方さんが進言したのに幕府軍はそれを退けたために……、とかなんとか? というわけで、新選組が京都を最後にした土地、伏見奉行所と御香宮の位置関係と距離を実測できて満足です(笑)
 
敵地(笑)、御香宮神社にも行ってみました。徒歩5分ぐらいです。伏見奉行所よりちょっと高台にあり、飛距離の長い最新兵器をお持ちだった薩長にここから狙われたら、やっぱり敗走やむなきでしょうね。
 
御香宮神社には、まだ初詣の人々の姿もちらほら。和服姿の女性も見かけられました。境内より良い香りの水が湧き出し、その水を飲むと病が治ったので「御香宮」と呼ばれたという伝承があります。由来となった湧水は明治時代に涸れてしまったそうですが、1982年に復元され、1985年には環境省の名水百選に認定されたそうです。さすが酒造りの街、神社にも名水がありました。



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2008/01/07  (月) 

寺田屋

伏見といえば「寺田屋」、です。幕末の京都で騒動の舞台となった旅籠はいくつかありますが、池田屋など、もう失われた建物が多い中、寺田屋は資料館となって残っているのですね。当時、使われていた井戸なども残っていました。竜馬の記念碑や寺田屋の女将、お登勢さんの稲荷なども。
 
主役は坂本龍馬ですが、お龍さんが入っていたお風呂というのが残っていて、興味深かったです。そして、お風呂から飛び出して薄衣をはおり、竜馬に急を告げるために駆け上がった階段も。「昔白刃の階段」という名がつけられていました。案内の方が幕末の動乱について解説してくれているようです。
 
あとは畳の部屋がいくつかあるだけなのですが、坂本龍馬や中岡慎太郎などが写った集合写真がありました。不勉強を露呈しますが、このような写真があることを知らなかったので、しげしげと見入ってしまいました。中には勝海舟も一緒に写ってました。伊藤博文とか。
 
激動の幕末の主役たちが、こんなにずらりと並んで、「はい、チーズ!」(という顔はしていませんでしたけどね、誰も)。誰がイケメンかといえば、やっぱり中岡慎太郎かなぁ(笑)
  
すぐ脇の道は「竜馬通り」。これはただの商店街ですねぇ。おみやげ物ストリートかな。電車で来ましたが、なんとなく伏見と御所の距離感がつかめた感じです。



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伏見の水
清涼寺