ある小説の中に、世界を旅して「何を祀ってあるのかわからないんだけど、地元の人が拝んでいるものには手を合わせることににました。そうしたら、なぜか商売がうまくいくようになったんですよ」というフレーズがありました。SFだし、本筋とはまったく関係ないんだけど、心に残った一節です。そんなわけで(どんなわけで?)、日々の何気ないできごとを綴ってみようかと思います。
2007/11/11  (日) 

酉の市「花園神社」

今日は一の酉。各地の鷲神社の祭礼で、古くは酉の祭と呼ばれていたそうです。大酉祭、お酉様とも呼ばれています。私は花園神社に行ってきました。すごい賑わいで。参道は左右にいっぱいお店がついて、外の靖国通りも区役所通りのあたりまで、ぎっしり歩道にお店が出ていました。


酉の市といえば、一番人気はなんといっても浅草の鷲神社。吉原へ行く通り道にあるので、おかみさんには「酉の市に行ってくる」と言って吉原へ、なんていう噺もありますね。バブルの頃は、花園神社も宵宮が深夜になってからが佳境だったそうです。お店がひけたホステスさんを腕にぶら下げて、鼻の下をのばしたおっさんが、「大きいの買って〜」なんて言われると、やに下がってシャンシャンシャンと手締めという風景が見られたそうです。いつの時代も男ってヤツは……(笑)

  
今年は宵宮が雨模様でした。人出はどうだったのでしょうか。商売繁盛の縁起物ですから、雨が降ろうと槍が降ろうと、かもしれません。この酉の市で縁起物の熊手を買うという風習は関東のものなのだそうですね。へぇ〜、全国区かと思ってました。

 
酉の市の縁起物の代表格は熊手ですが、これは鷲が獲物をわしづかみすることになぞらえていて、鷲づかむという意味が込められているそうです。熊の手の形じゃないんですね。熊手は年々大きくしてゆくものとされています。大きさもさまざまなものが売られていますが、小さいのを買う人は縁起物初心者? 何十年と買い続けたら、どれだけの大きさになっちゃうのでしょうか? 置くとこ、困りそうですね。

  
福を掻きこむ熊手の他に「頭の芋(唐の芋)」や粟でつくった「黄金餅」があったそうです。頭の芋は頭になるような出世をする、芋は子芋を数多くつけることから子宝に恵まれる、黄金餅は金持ちになれるというようです。小金持ち? 欲がないようですね(笑) 幕末頃からは黄金もちに替わって「切り山椒」が縁起物となってきたそうです。花園神社でも売っていました。これを食べれば風邪を引かないそうですよ。

  
縁起物の市だけに、切り山椒をはじめ、打出の小槌とか南天の箸とか、縁起物系の露店も普通のお祭りよりは多かったように感じます。その中で、飴細工というのを見つけました。ピンポン玉ぐらいの飴が、職人さんの手によって数分で動物や鳥に変わっていきます。おもしろくて、しばらく見とれてました。かなりの人垣ができていました。昔の縁日では、けっこう当たり前にあったようなのですが、私ははじめて見ました。見ている人ばかりで、買ってる人が少ないのは、お店の人にとっては困りものかもしれませんけど(^_^;)

 
境内を出て、ふらふらと西武新宿のほうへ歩いていたら、後ろから赤色灯を回し、すさまじいサイレンとともに大型の消防車が2台、かっとんで行きました。どこで火事? と思っていたら、また2台。そして、救急車も。歌舞伎町の中へ入って行きます。ついつい、追いかけて、見に行ってしまいました。火事と喧嘩は江戸の華?(^_^;)

  
集まった消防車は、私が数えただけで梯子車も入れて12台。狭い路地に入りきれずに靖国通りで待機。「2階のマージャン店!」という声が飛び交っていましたが、幸い誤報か、小火程度ですんだようで、完全防備のファイアーマンが数名、ビルに入っていきましたが、ほどなく降りてきて解散指令みたいでした。しかし、繁華街でビル火災って連絡が入ったときは、消防署にも緊張が走ったでしょうね。西新宿方面からも四谷方面からも来ていました。ちなみに、パトカーが一番最後だったみたい(笑)

  
縁起堂本舗でもお正月の縁起物を取り扱い始めましたよ。「縁日ガイド」では、浅草の鳳神社の酉の市の風景もご紹介しています。



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2007/11/10  (土) 

承天寺(甲斐霊場第31番)

承天寺へ行くには忍野八海を通ります。が、通り過ぎて、その先のうどんやさんへ。カウンターだけの小さなお店……ではなく、ここは試食カウンターなのです。ガラガラと戸を開けて入った瞬間、「ここは食堂じゃないのよ。わかってるよね?」と言われました。もちろん、わかってます。うわさの「吉田のうどん」を買いに来たのですから。

わかってるならと、目の前に出された試食は、そばとうどん、それぞれ大盛り! お昼時ではありましたが、せっかくだからと全部食べたらめまいがしました(笑) でも、どちらもすごくおいしかったです。そして、うどんと店先の無人売店の1本100円也の泥つき大根を買って、そそくさとトランクへ納めました。駐車場で空を見上げると、すぐそばに大きな富士山。あまり天気はよくなかったのですが、そのときだけは日が差して、本当に美しい冨士の姿を見ることができました。

承天寺は風情のあるお寺です。翌日に薬師様の縁日を控え、参道に番傘か掲げられていて、それが独特の雰囲気をかもしだしているようです。「ごめんくださいと」と声をかけると、お寺の隣にセミナーハウスがあり、地域の老人会の給食サービスをなさっているらしく、お弁当が運び込まれたり、取りに来る方がいたりでてんやわんや。わぁ、申し訳ない時間に来ちゃったなぁ。
 
でも、再訪するわけにもいかないので「語朱印を……」と切り出すと、しばらくして、お寺のご隠居さんでしょうか、80代後半ぐらいの老婦人が出てきてくれました。そして、一度、奥へ引っ込むと、「この辺の漬物だから食べてみて」と沢庵とお茶を持ってきてくれました。この沢庵が塩辛くもなく、ちょうどよく漬かっており、大根の味が生きていて本当においしかったです。山盛りで出してくださったのに、ポリポリ、ポリポリ、漬物好きにはたまりません(^_^;)
  
この方は麻布十番の生まれで、「疎開してきたのが縁で、ここに住み着いたのですよ」とおっしゃっていました。すばらしい自然に囲まれて、人情も温かく、本当によいところですと。しかし、冬の寒さだけはもう大変なものだとか。そうでしょうねぇ、富士山の吹き降しって感じですから。麻布十番のおいしい鯛焼き屋さんやお煎餅屋さんの話に花が咲きました。なんで、ここで?(笑)
 
本堂の前に座っていると、目の前のイチョウがすっかり色づいて、わずかな風にも葉を落としています。楓も色づいています。今年は、黄葉する木の順番が例年と違うそうで、やはり地球はおかしくなっちゃっているのかもしれませんねぇと。そのイチョウの奥に見えるのは、村の文化財にもなっている鐘楼。和唐折衷様式というそうですが、美しい姿です。「行く年来る年」で、こちらの鐘の音が全国に流れたこともあるとか。
  
承天寺はもともとは現在地より山の上のほうにあったそうです。開山は1184(寿永3)年で、当時は長寿山上天寺という名称であったそうな。1521(大永元)年に焼失し、1608(慶長13)年(1608)に再興。そのときに現在の寺名、医王山承天寺に改められたそうです。
  
手水場には清らかな湧き水が流れていますが、この水は7年前の富士山の雪が地下水になって流れてきているものだといいます。なんだか、ロマンがありますね。帰りに「惚け防止のために作ってるのよ」と、千代紙で作った手作りの楊枝入れまでいただきました。すっかり長居してしまった承天寺でありました(^_^;)



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2007/11/09  (金) 

西念寺(甲斐霊場第30番)

国道139号線を通って金鳥居を過ぎ、北口本宮浅間神社が見えてきました。あら、ここは吉田の火祭りのときにずいぶん行ったり来たりした道です。お祭りのときと違って、街は静かで、この道もやけに遠く感じます。お祭りのときはまったく気がつきませんでしたが、吉積山西念寺は浅間神社のすぐそばにありました。
 
「時宗 富士道場」と書かれた板がかかる冠木門様式の山門の正面に本堂が見え、開け放たれています。ここは平地でちゃんと駐車場もありますが、やけにたくさん車が止まっていました。どうやらこれから法要が営まれるようです。と、小さな子どもを連れた若いお母さんたちがぞろぞろ出てきて、どんどんクルマは出て行き、がら〜ん。法要もあるようでしたが、どうやら幼稚園の説明会があったようです。幼稚園は本堂のずっと奥らしく、気づきませんでした。
  
「富士道場」の額がかかっているように、719(養老3)年に行基が富士山で修業したときに、この地に堂をつくり富士道場としたのが始まりといわれます。その後、1298年(永仁6)年に時宗の僧が布教のために立ち寄り、時宗の道場にしたそうです。時宗というのは聞いたことはありますが、時宗の寺院を訪れたのははじめてです。
  
富士山信仰は浅間神社ばかりではなく、この西念寺とも関係は深く、江戸時代の富士講の人々は西念寺精進場で身を清めてから富士山に登ったそうです。吉田の火祭りのときには富士山型の神輿が浅間神社からお旅所へ行きますが、このお旅所では西念寺の住職が正装して門前に迎えるのだそうです。火祭りに来たときは、お旅所は混雑のため敬遠だったので、そのお迎えを拝見することはできませんでした。というか、 その気なし?(笑)
 
山門脇にある薬師堂には霊験があらたかといわれる「西念寺薬師」が納められているそうです。鎌倉期の作で、県指定文化財だとか。一般の参拝客はこういうものをナマで見せていただけるチャンスはほとんどないのが残念です。



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2007/11/08  (木) 

月江寺(甲斐霊場第29番)

今日は立冬。秋の気配どころか、冬の足音という感じでしょうか。といっても、今日の東京は昼間はちょっと動くと汗ばむぐらいの暖かさでした。甲州も、朝晩は涼しいを通り越して寒いぐらいですが、日差しのあるときはけっこうホコホコしています。
 
国道139号線を進んでいくと「月江寺駅」という駅があります。駅名に名前があるくらいで、広くて立派なお寺です。昔は、参道も賑やかで、富士吉田市の中心的な商店街だったそうですが、いまはかつての賑わいは感じられません。地方の商店街はやっぱり厳しいようですね……。
 
相変わらず道を間違えて、本来なら下の道から参道、山門、本堂と進むべきを、上の道からお墓所を通って降りてきて、いきなり本堂の前に到着。境内は、ここで運動会ぐらいできそうなくらい広々としています。こういうロケーションだと、かえってどこにクルマを停めるべきか悩みますね。ど真ん中? まさかね。
 
月江寺ははじめは富士山別当称光院という富士浅間神社の祈願所だったそうですが、室町時代に入る頃にはすっかり廃れていたそうです。室町時代になって向嶽寺(甲斐霊場第12番)の禅僧、絶学無能が祥春庵という庵を開いて再興したそうです。
 
このものすごく謙虚なのか、ものすごく自信家なのかわからない名前の禅僧は、あちこちで中興の祖になっているようですね。よく名前がでてきます。少なくともものすごくエネルギッシュな……禅寺の修行僧にそぐわないイメージの言葉です(笑) ガリガリに痩せていて、柔和な顔で、ものすごい精神のパワーをもっていたって感じでしょうか。
  
その絶学無能師がせっかく再興したのに、その後、このお寺は結局、無住になってしまったそうです。江戸初期に禅心聖悦という禅僧が再開山して、いまのお寺になったのだとか。潰れなくてよかったです。 月江寺の寺宝には室町時代の作で「絶学祖(無)能」「三光国師」「法燈国師」の三画像がり、月江寺が向嶽寺末寺であったことを示すものだそうですが、ひょっこり出かけて行って、おいそれと見られるものではありません(^_^;)
 
境内に入ると正面に本堂。東側の隅に鐘楼が建っていますが、これは新しく、最近になって建て直されたように見受けられます。本堂の左右にはピカピカの文殊菩薩と普賢菩薩の像もあります。墓地の入り口にたたずんでいる観音様と、その脇に植えられた見事に紅葉したドウダンツツジの赤が素晴らしいコントラストを見せていました。
 
山門を降りていくと、左側にはこじんまりした池があります。カモが泳いでいる水辺の陽だまりで本を読んでいる人がいました。近所にこんな場所をもつ人は幸せですね。



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2007/11/07  (水) 

西方寺(甲斐霊場第28番)

山門はがっしりとした武家門で、このような造りは寺院には珍しいものだといいます。境内は広々としているのですが、がっしりとした門にはかっちりと車止がしてあり、入れないか? とりあえず、交通量も少ないしと門に横付けしてしまいました。

境内をお掃除していた人が飛んできて、誰か来ると困るから中へ入れと。入れるのかな〜と恐る恐る車を進めたら、ぎりぎりで通過しました。甲斐は相変わらず教習所状態です。

  

甲斐……といっても、20番台の霊場は、富士山の近くに散らばっている感じで、あまり「甲州」という感じがしません。甲州へ行けばどこでもお目にかかれる「信玄のなんとか〜」というのもまったく見かけることがなく、大河ドラマ風林火山どこ吹く風という感じ。そういえば、どこのお寺にも「風林火山」の幟ははためいていないようです。

 

富士山麓はすっかり秋の気配で、静かな境内にも落ち葉が舞っています。車を誘導してくれた人は、再び箒を手に取ると、これを黙々と掃いています。門を入るとすぐ左側に十一面観音を祀った観音堂があります。郡内三十三観音の8番札所だそうですが、残念ながら十一面観音は秘仏で拝観はできません。

  

屋根が鮮やかな庫裏を訪ね、御朱印をいただきました。「どちらから?」と聞かれ、「東京です」と答えたら、「遠いところからご苦労さま」と御朱印と一緒にクッキーとキャンディをいただきました。



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菊まつり3(湯島天神)
川中島古戦場跡