知足の気まぐれトルコ紀行

イスラーム圏に行くというと｢怖くない？｣という反応が多い。これは、日本にはイスラームがほとんどいない(多く見積もっても数万人というところらしい)のでなじみがないこと、イスラーム関係の報道が昨今では｢イスラーム過激派｣という部分ばかりだからではないのだろうか。中にはイスラーム＝テロリストと思っている人もいるらしい。イスラームはキリスト教、仏教と並んで世界三大宗教の一つで、世界中に13億人以上の信者がいるそうである(ちなみにキリスト教は20億人、仏教は5億人ぐらいらしい)。世界の人口は66憶7,000万弱のようで、そうであるなら世界人口の2割近い人がテロリストですか？(笑)

イスラームにも宗派があるが、大きく分けるとスンニ派とシーア派。報道番組などで｢宗派間対立｣などの話題がときどきクローズアップされるから、私たちも耳慣れてしまった。｢じゃあ、どう違うの？｣って言われても、よくわからないのだが。

教義そのものは、大して違わないらしい。スンニ派はムハンマドは神の言葉の伝達者だから、もっとも大切なのはクルアーンに記された神の言葉とそれに基づくムハンマドの言葉と行動であるとするもの。それを常識的に解釈して、日々過ごそうとするのがスンニ派。預言者ムハンマドが生きていた時代(632年没)に積み重ねられた｢慣行(スンナ)｣を守る宗派という意味で、アラビア語で｢スンナに従う人｣を意味する｢スンニー(Sunni)｣派と呼ばれるらしい。

シーア派は血筋を重んじる人たち。ムハンマドの甥のアリが正統な後継者で、アリの血筋が絶えてもそれに準ずる宗教指導者を立て、その人の下で厳格に教義を守って暮らそうとする人々。シーアは、アラビア語で｢党派｣を意味する普通名詞で、｢アリーの派(シーア・アリー)｣と呼ばれたことに由来しているとか。

キリスト教が慈愛や天国など抽象的なものを語るのに対し、イスラームは法や政治など現実の生活をも規定しているので、普通に信じれば政教一致になるのが当然。従って、トルコのように教義を政治や生活に盛り込まない場合は、あえて｢政教分離の国である｣と明言しなければならないのだろう。

イスラームは怖いどころか、人に寛容な宗教であるように感じる。仏教でいえば｢喜捨｣に当たるようなホスピタリーにもとても優れたところがあるようだ。｢ユダヤ教やキリスト教などの一神教は、すべてイスラームの古い姿であり、最後の預言者ムハンマドは、最後に出現したのだから最高の預言者だ｣という文脈がキリスト教に嫌われて、攻撃の対象になっているような。キリスト教はけっこう攻撃的な宗教だと思うけど、なにせ全世界では与党だから(笑)　中東だけなら野党なんだろうけどねぇ。とりあえず、「イスラーム＝怖い」というイメージは、少々、アメリカのプロバガンダに毒されている部分もあるのではないかと思うのだが、いかがなものか。トルコに行くに当たって、にわか勉強をしただけなので、私の言うことはあまり当てにはならないことだけは明言しておく(^_^;)

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