知足の気まぐれトルコ紀行

トルコ語でベルガマ、英語でペルガモン。アレキサンダー大王の死後、その遺産を継いだペルガモンは、ヘレニズム〜ローマ期にペルガモン王国として繁栄した。繁栄の時代を迎えたアッタロス王朝はギリシア文化を取り入れたアクロポリスを次々と築いていったところから、この都市の歴史が始まっている。特に文化、芸術を保護したことで有名である。ペルガモンにあるアクロポリスは芸術や学問、政治の中心、少し離れた場所にあるアスクレピオンは医療施設となっている。
 
丘の上に残る遺跡には、当時の繁栄の面影を見ることができる。すべて大理石のトラヤヌス神殿は、正面6柱、側面9柱のコリント様式。すべて大理石というとすごく贅沢な感じがするが、大理石がたくさんとれるこの辺りではエフェソスなどでも道路の敷石になっていたくらいで、そんなに贅沢なイメージではないのかもしれない。よっこらしょと階段を上がっていくと、素晴らしい遺跡群が目の前に広がり、眼下には緑の畑と街が眺望できる。
 
ここにあった図書館は、エジプトのアレクサンドリア図書館についで当時、世界で2番目に大きく、蔵書数を競い合ったとか。20万巻もの蔵書があったそうだ。本の材料となるパピルスはエジプトからの輸入だったが、紙不足に陥ったエジプトのプトレマイオス朝がパピルスの輸出を禁止した。自分の図書館が蔵書数で負けたくなかったのかも。困ったこの国ではそれに代わる羊皮紙を発明したという。英語・ドイツ語で羊皮紙のことをparchmenと呼ぶのはペルガモン(Pergamon)に由来するそうだ。エジプトのアレキサンドリア図書館を灰にしたアントニウスは、この図書館をクレオパトラへの贈り物にしたという説もある。美女に生まれると、図書館までもらえちゃうんだ！
 
柱があったり、回廊があったり、残されているものから原型を想像することになるが、思い描ききれないスケールがある。山の傾斜にそって、扇型の劇場もあった。神殿からの眺望をさえぎらないために、谷に向かって造られたという。古代劇場の中でももっとも傾斜が急なのだそうである。ちょっと降りてみた人もいたようだが、転んだら下まで行ってしまいそうなので私はご辞退(笑)
 
ヘレニズム芸術の代表作といわれるレリーフなどがたくさんあったらしいが、遺跡からの出土品の多くはベルリンにあるペルガモン博物館に収蔵されているそうだ。発掘した人勝ちなのかもしれないけど、できればここにあってほしいものである。

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