ある小説の中に、世界を旅して「何を祀ってあるのかわからないんだけど、地元の人が拝んでいるものには手を合わせることににました。そうしたら、なぜか商売がうまくいくようになったんですよ」というフレーズがありました。SFだし、本筋とはまったく関係ないんだけど、心に残った一節です。そんなわけで(どんなわけで?)、日々の何気ないできごとを綴ってみようかと思います。
2009/05/07  (木) 

忍者の里

忍者といえば、伊賀・甲賀が有名ですが、伊賀の流れを汲む戸隠流もそこそこメジャーです。地名は「とがくし」ですが、忍法は「とがくれ」流です。忍者の技術や伝統は、いまも保存会のようなものがあって引き継がれているようです。奥社の近くに「戸隠民俗館」と「忍者資料館」「からくり屋敷」がセットになった施設があります。中社の近くには「ちびっこ忍者村」も。
 
存在は知っていたのですが、戸隠に来るのはスキーがほとんどで、冬季は閉鎖。これまで訪ねる機会はありませんでした。それに、なんとなく胡散臭くありません?(笑) このたびは、「べーそ」で忍者の方々の実演を見たこともあり、ちょっと立ち寄ってみようかという気になりました。さすがに「ちびっこ」のほうはご遠慮いたしましたが(^_^;)
 
「戸隠民俗館」は江戸時代の穀倉に戸隠の民具が展示されています。まあ、まあ、ありがちな……(^_^;) この辺りは竹細工が有名ですが、いろいろな種類の竹の笊や籠が展示してあるのが特徴といえるかもしれません。古い農具や野良着、裃なども展示されています。
 
「戸隠流忍法資料館」は大きな農家を改造したもの。1階は畳が敷いてあり、住に関するさまざまな道具が展示してあります。豪農の住まいという感じですね。2回は「戸隠流忍者」の技術や道具が紹介されています。本物の手裏剣や毒薬、仕込み杖、服などがあり、忍者のすべてがここでわかる!(笑) 戸隠流は、木曽義仲の家臣・仁科大助が戸隠飯綱修験道に伊賀流忍術を加えて完成させた忍びの術なのだそうです。実践している写真などもあり、なるほど・ザ・忍者です。この世界に興味のある方々は楽しめそうです。
  
 

「忍者からくり屋敷」はいわゆる立体迷路です。入場料を払ったのだから入ってみるかぐらいの気持ちだったのですが、これはけっこうおもしろい! 案内図はいっさいなく、「自力で出てこなければ知らないよっ」という感じです。壁を動かしたり掛け軸をめくったりして、自分で出口を探さなければなりません。せっかく見つけた隠し扉が行き止まりだったりして、けっこう知恵を絞らないと脱出できなくなりそう。多くの人が試したらしい扉を試して……。 
 

ここでひとりで入場したらしい小学校1、2年生ぐらいの少年に出会いました。最初はちょっと心細げで、私たちの後ろをついてくるという感じだったのですが、あまりにもあてにならならいオバサンと見抜かれ、「僕の後についておいで!」という感じで、先頭に立ってあちこち探してくれました。ぐずぐずしていると、「こっち、こっち」と扉を開けて待っててくれたりします。ありがとう、キミがいなかったら、オバサンたちはこの中でミイラになってたかもしれないよ(笑) 
 



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2009/05/06  (水) 振替休日

水芭蕉群生

戸隠ではそこかしこに水芭蕉が群生しているのが見られます。有名なのは奥裾花渓谷ですが、わざわざ出かけていくには及ばないという感じです。数や広さは奥裾花渓谷にはかなわないのでしょうが、実はそちらには入口までしか行ったことがありません。GWという最悪の条件でなければ(笑)、鬼無里や奥裾花渓谷まで足を延ばしてもよかったのですが、戸隠でも十分に楽しめました。
 
中社から奥社に行く途中に、湿原に板を渡して、間近で水芭蕉を観賞できるようにしつらえてあります。それほど広い範囲ではありませんが、そぞろ歩きながら水芭蕉を見ることができます。もっとも、わざわざそこへ行かなくても、奥社の参道の脇にも可憐な白い姿がちらほら。戸隠古道でも時おり見かけました。ちょうどいまが盛りといった所でしょうか。地元の人の話では、昨今は栄養状態がよくて花が大きくなりすぎる傾向にあるようです。あんまりニョキニョキしていたのでは、水芭蕉の魅力は半減です。山の水も生活排水の影響は免れないのでしょう。
 
水芭蕉群生地の近くにはキャンプ場がありました。虫が苦手の私にとっては、テントでもキャンピングカーでも、バンガローでもご遠慮申し上げてしまうのですが、こんな大自然の中でのんびり過ごすのもきっと楽しいことでしょう。夜になったら星が降ってくるに違いありません。
 



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2009/05/05  (火) こどもの日

戸隠古道

お祭りの行列のために大幅に交通規制となっていたので、クルマは捨て、山歩きをしてみました。中社から鏡池まで、「戸隠古道」がつながっています。歩いたのは何年ぶりになるでしょうか、かつてはただの獣道のような感じでしたが、いまは標識や石柱なども立っていて、ずいぶん整備が進んだ模様です。ちなみに「○○まで○キロ」の計測はかなりいい加減なような(笑) 0.3キロから100メートルぐらい歩いたのに、また0.3キロだったりします。歩く道によって違うってことかな?
 
整備されたといっても、アスファルトが敷かれているという意味ではなく、急なところにはちょっと木が渡されていたり、歩く人が増えたせいでもあるのでしょうか、しっかり「道」ができていて、どっちへ行くか迷うことがないというようなことです。落ち葉を踏みしめて、土の上を歩くのは気持ちのいいものです。アップダウンはありますが、普通のスニーカーでもちゃんと歩くことができます。
 
標高が高いので、まだ新緑というには早いのでしょうが、よくよく見れば下草が芽吹いていたり、山野草が花をつけていたり。見上げると山桜が満開だったりします。たんぽぽの黄色い花が一面に広がっているすぐそばに「こごみ」を発見。一瞬、摘んでお浸しにしようという不埒な考えが頭をかすめましたが、まだ先が長いので断念(笑) きっと、次に見つけた人の胃の腑に滑り込んでいくのではないかと……(^_^;)
 
  

途中には「鬼女紅葉伝説」の登場人物ひとり「おまん」にまつわる伝説のある硯岩があり、雑木林が開けると遠く山々がそそり立っているのが見えます。まだ、頂き近くにはほんの少しの雪を残して。普段は人とすれ違うことも稀な道ですが、さすがゴールデンウィーク、前や後ろにもちらほらと人影が見え、すれ違った方々も多数。すれ違いざまに「こんにちは」と声をかけてくださるのは、山歩き趣味の方々なのでしょうね。めったに山などに足を踏み入れない派は、道は譲り合っても無言です。軽く会釈する派もありですね(笑)
 
中社から鏡池に至る間に小鳥池があります。ここは鏡池とは違ってクルマは入れないので、ほとんど人影がなく静かです。ほんの2、3メートルぐらい道から離れているだけですが、林があるせいか、古道を歩く人々も素通りすることが多いような。もったいない。小さな池ですが、本当に静かで小鳥のさえずる声が大きく響くくらいです。さすが小鳥池。
終点の鏡池はクルマやマイクロバスで訪れた人々でにぎわっていました。やや風が強く、湖面が波立っているので「鏡」にはなっておらず、逆さ戸隠連峰が見られず残念でした。季節的には秋の紅葉を映すのがいちばん美しいように思いますが、新緑というのも見てみたかったですね。もう少し後、6月初旬ぐらいがいいのかもしれません。

 


 



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2009/05/04  (月) みどりの日

奥社

今回は、ずいぶん久しぶりに奥社へも足を運びました。本社は道路に面した入口から1,900メートルもあり、フィニッシュはかなり登りなので、お参りするにもなかなか根性が必要な神社なのです(笑) 参道はもう花粉を撒き散らすこともない杉の古木に囲まれ、鳥の声がそこここから聞こえてくる、「これぞ参道」という風情ではあるのですが。

 

参道のわき道は自然植物園になっていて、いまの季節なら水芭蕉も見られ、こちらを歩くのも、いまはやりの言葉で言えば、癒されます。しつけの悪いガキどもが走り回り、奇声を上げ、そこらへんの草をむしったりして騒がしくなければ……(-_-;)
奥社には「天手力男命」が祭られている本社と、「九頭龍大神」が祀られている九頭龍神社があります。まさに神話の世界ですね。

 

ここにはまだ雪が残っていました。どーりで肌寒いわけです。境内、といっても、本当に山肌を削ったようなスペースですが、ここにある滝の音も涼しさよりは寒さを感じます。真夏になると、汗びっしょりになって登ってきて、滝の音に清涼感を感じるということになりますが。

      

参道の脇を目を凝らしてみると、ひっそりと「かたくり」が花を咲かせていたりします。「かたくり」が芽を出してから花をつけるまでには7、8年かかるということなので、ポツンと咲いているのを見かけると「ご苦労さま」と声をかけたくなるような。可憐というよりは切ない感じでしょうか。一輪草や二輪草などもときおり身を寄せ合うように咲いています。北国の春はいっきに来る感じで、咲くとなったらさまざまな花がいっせいに花開くようですね。華やかな花は少ないですが、それぞれに個性的です。
 



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2009/05/03  (日) 憲法記念日

戸隠神社式年大祭

今回、空前絶後の渋滞が予測される中、がんばって信州へ出かけて行った第一の目的は戸隠神社の「式年大祭」を見ることでした。こちらも7年に1度。昔は丑年と未年、6年1度だったそうですが、いつから7年に1度になったのでしょう? 善光寺の御開帳にあわせたのでしょうか。今年は丑年なので、昔ながらの丑年と未年という意味では35年ぶりだとか。だとすると38年に1度のベイスターズの優勝を見るほうが希少ということになりますが(^_^;)
 
戸隠神社というのは奥社(本社)・九頭龍社・中社・火之御子社・宝光社の5社をまとめた呼び名です。「式年大祭」は4月26日から5月20日までですが、5月3日に行われる「渡御の儀」がメイン行事の一つ。かつては奥社まで御神輿が渡御されていたそうですが、現在は一番下にある宝光社の神様「天表春命」が、メイン社の中社の父神様「天八意思兼命」のもとに渡って父子のご対面が「渡御の儀」ということになっています。神様に親子関係があるというのもおもしろいですね。7年ぶりに実家に帰った?天表春命は2週間滞在なさるそうで、17日には宝光社に帰る「還御の儀」があります。
 
天表春命は、600キロもあるという御神輿に乗って午後1時半に宝光社を出発し、3キロの道を中社まで登ってきます。私たちは終点の中社に泊まっていたので、行列が通るのは4時ごろになりそう。午前中にちょっと宝光社をのぞきに行ってきました。表通りは3キロの道のりですが、裏の山をかきわけて……は、オーバーで、「戸隠古道」という山道があり、15分ほどで宝光社まで行けるという情報をつかんでいました(笑)
 
宝光社では渡御の儀を迎えるための「獅子舞」などが行われていました。私たちは上から行ったからいいんですけど、ここの階段、道路から150段以上はあります! 降りてみました。ということは? 結局、また登るハメに(笑) 2度の途中休憩が必要でした。

 

御神体が御神輿に乗るまでにはまだ時間があるので、引き返し、途中にある「火之御子神社」に立ち寄りました。名前からすると天照大神が祀られているのかと思いきや、天の岩戸を開けるのに功績のあった天鈿女命が祀られています。元祖ストリッパーとか言われていますね。不謹慎な!(笑) 火之御子神社はちょっとカヤの外の感じで、ひっそりとしていました。
 
表通りをがんばって歩いていた何人かのお客さまにうこっそり裏道の存在を案内し(笑)、中社に戻って行列を待ち構えることに。立派な御神輿は、なにせ600キロということで、担ぐ方々も大変です。30メートルぐらいごとに担ぎ手を交代しながら、ゆるりゆるりとやってきます。

  

神輿の前後には、先頭の天狗様、白い馬に乗った中社の宮司様をはじめ、御神楽やお稚児さん、山車などが連なり、賑やかです。いつもご厄介になっている宿のご主人も神職なので、盛装で行列に参加しています。カメラを構え、「おとうさーん、こっち向いて〜!」って、やっぱり不謹慎(^_^;) 行列の先回りをして中社にお参りし、御神体が中に入るのを確認し、御神輿の車庫入れ(笑)まで、しっかり見物してきました。

戸隠神社は江戸時代までは神仏習合でしたが、明治時代の廃仏稀釈で仏像は各地に離散したそうです。2003年からは式年大祭の期間中に、長野や千曲の寺院に分散した仏像5体を宝光社に集めて「離山仏里帰り拝観」を開催しています。善光寺にある「木造勝軍地蔵騎馬像」は、今回初の里帰りとなったそうです。戸隠神社の式年大祭は、なんだか離れ離れになっている友人や家族がめぐり合い、旧交をあたためる御祭りのようですね。
  



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善光寺御開帳
またしても蕎麦!