ある小説の中に、世界を旅して「何を祀ってあるのかわからないんだけど、地元の人が拝んでいるものには手を合わせることににました。そうしたら、なぜか商売がうまくいくようになったんですよ」というフレーズがありました。SFだし、本筋とはまったく関係ないんだけど、心に残った一節です。そんなわけで(どんなわけで?)、日々の何気ないできごとを綴ってみようかと思います。
2007/09/08  (土) 

放光寺(甲斐霊場第8番)

さて、霊場めぐりのつづき。甲斐百霊場の第8番は、高橋山放光寺。真言宗のお寺でご本尊は大日如来です。「たかはしやま」ではなくて「こうきょうざん」。そういえば、江戸の大川にかかる高橋は「たかばし」ですね。日本語は難しい……。
 
真言宗のお寺でご本尊は大日如来です。ここには大日如来、不動明王、愛染明王、 金剛力士立像などたくさんの重要文化財が残されているそうです。山門を入ると手入れの行き届いた長い参道を歩くことになります。夏の盛りは緑が勝っているという感じですが、庭には四季の花木が植えられていて、「花の寺」と呼ぶ人も多いとか。
  

仁王門の中にいらっしゃる仁王像は鎌倉時代、成朝作の重要文化財とのことですが、この世界に暗い私としては成朝って誰?(-_-;) お庭には北村西望(長崎平和像の作者)の鶏冠観音をはじめ、さまざまな仏像や石造が配置されていて、のんびり散策するのにもいいお寺です。
 
本堂の傍らには縁結びにご利益があるという愛染堂があります。この中に安置されている天弓愛染明王は、日本最古の愛染明王像で、とっても利益があるといいます。連れに「しっかりお参りして来い!」と言われ、しっかりお賽銭を投げてきましたが、果たしてご利益のほどは?
 
下調べもしないでフラフラとお寺廻りをしている人にはご縁がありませんでしたが、ここは四季折々の山菜などを食材として作る季節の精進料理を提供してくれることでも知られているそうです。おいしそうですね。
 
寺域の脇には、涼しそうな水音を立てて、水路が流れています。手は届きませんでしたが、ひょっとしたら飲めるのではと思われるきれい清水です。この辺りは「ころ柿の里ウォーキング 信玄の里コース」というウォーキングコースになっているので、ゆっくり歩いて自然に触れるほうが正解なのでしょう。水路の先には、江戸時代に建てられたという切妻造の水車小屋があり、いまでも軽快なリズムをきざんでいます。



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2007/09/07  (金) 

白露

今日は節気では「白露」、太陽黄経が165度のときで、大気が冷えてきて、露ができはじめ、秋の趣が感じられる……とありますが、嘘つけぇ〜という感じの蒸し暑さです。台風一過、でも関東ではまだ青空は見られず、生暖かい強風が吹きぬけていきます。
 
かつて川の氾濫に悩まされた地区に住むものとしては、夜半まで国土交通省のサイトに出たり入ったりしながら、危険水位を気にしていました。朝になって水は引いたものの、ちょっと気になり、川の様子を見に行ってみました。
  
普段は飛び石をつたって対岸に飛び移れるようなところも、水量は少ないとはいえ、まだかなりの激しい流れになっています。岸の草木はなぎ倒されたあとはあるものの、もう復活の兆し。植物とはたくましいものですね。その速い流れの中で、ゴムボートで遊んでるおじさんがいて、びっくり。
よくやるよ(-_-;) 

 
この川はかつて工場廃水や生活排水で汚染され「死の川」とまで呼ばれたことがあるそうで、国分寺あたりからのハケと呼ばれる湧き水も涸れ、蛍も消えていったそうです。氾濫し、周囲の住宅を水没させることもしばしばありました。我が家もここの引っ越してから、二度の床上浸水と数回におよぶ床下浸水を経験してきました。子どもの頃の話で、そう確かな記憶でもありませんが。
 
川の改修工事が行われ、ある程度の水位に達すると自動的に緊急の貯水池に流れ込む仕掛けが作られています。普段はハザードの空き地、テニスコートとなっていますが、水位が増すと水が流れ込み、それでも足りないとその奥の野球場、サッカーグラウンドに流れ込むようになっているようです。運動場はしばらく使えなくなるかもしれませんが、おかげさまで下流の住宅街は浸水を免れています。今回はどうもテニスコートぐらいまでは水が上がったように見受けられました。
  川側


改修工事の結果、氾濫はしなくなりましたが、改修した川の作り方がヘタで、まっすぐなため、生き物の生息に限界があり、ビオトープとしての川の役割という視点からみるといかがなものかという指摘もされているそうです。まあ、そういうこともありましょうが、とりあえず、氾濫しなくなったということで、立地が低めの家にとってはありがたいことです。親の話によれば、建て替えたときには土を入れて、だいぶ高くしたそうですが。
  

ダムやコンクリートブロックではなく、竹篭に土や植物を入れてブロックにするなど、自然破壊を最小限にしながらの治水の技術にはさまざまなものが考えられているそうです。とはいえ、その時代の考え方、技術の程度などによって治水は行われます。小さな川でも流域という意味ではけっこうな大きさになりますから、一度、作り上げてしまったものは、よほどのことがない限り、そのまま継続することになるわけで、治水というのもなかなか難しいものがありそうです。



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2007/09/06  (木) 

こんな日に限って

台風9号の接近で関東地方はエライことになっています。今日は、あちこちでこの話題が飛び交っていることでしょうね。私も一口乗ります(笑) こんな日に限って、都会へ行く用事があるなんて、ついてないなぁと思いつつ。
 
午後からずっと都会のビルの中にいました。6時半頃、きっと外は大荒れだろうと思って外に出ると、あら? 雨も降ってない? というのが、新宿近辺の状態。台風の速度が遅いとは聞いていましたが、「まだまだ来ないのね」と気楽にヨドバシカメラに買い物に行ってしまいました。
 
7時頃のヨドバシといえば、いつも人を掻き分けながら買い物するようなのに、今日はガラガラ。そっちのほうに驚いて、やっぱり早めに帰らなきゃいけないんだと思い直しました。が、せっかく立ち寄ったのだし、VHSとかDVDとかのメディアとか、バッテリーとか、プリンターのインクとか、いつ買ってもいいような小物を買い集めたり。買い物は空いているときに限ります(笑)
 
外はそろそろ雨も降り出したし、風も舞っているようなので、とりあえず駅へ。駅で二度目にびっくり。ホームは人であふれ、入場制限をするかもしれませんというアナウンスまで流れてます。朝のラッシュよりすごいみたい。みんなが寄り道もせずに一心不乱に帰ろうとするくらい切迫してたのでしょうか、台風は。電車が台風のせいではなくて、お客さんの多さでちょっと遅延がでていました。こんな日に常連の飲み屋さんかなんかに顔を出せば、大事にしてもらえるんだよ、お父さんたち!(笑)
 
自宅のある駅についた頃には雨も風も強くなっていて、帰り道に壊れた傘を3つ発見。自分の傘も3回ぐらいオチョコになりかけました(これって、方言でしょうか?)。やっぱり本当に台風は近づいてきていたんですね。避けられない自然現象なら、用心して、我慢して、行き過ぎるのを待つしかありません。どうせ来るのなら、のんびりしてないで、さっさと来て、さっさと去ってもらいたいものですが。



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2007/09/05  (水) 

吉祥寺(甲斐霊場第7番)

甲斐百八霊場、7番目のお寺は毘沙門天をお祀りする真言宗のお寺、徳和山吉祥寺です。読み方は、東京の繁華街と同じ「きちじょうじ」。同じ字で「きっしょうじ」と読むお寺もありますよね。ご本尊が毘沙門天ということで、甲斐七福神のお寺でもあります。
 
このお寺は、どちらかというと集落の中に位置しているといっていいでしょう。行き止まりの山道ではなく(-_-;) それでも山の麓で、高い所にありますから、吹き抜ける風が気持ちよく、景色も絶景かな、絶景かな。ちょうどお昼時になったので、こちらの境内でお弁当を広げさせていただきました。
 
例によって御朱印をいただこうと声をかけたのですが、開けっ放しなのにどなたもいらっしゃいません。失礼して、土間に入ると「裏の畑にいます。声をかけてください」という置き書きが。無用心というより、のどかというか、「鍵を開けたまま留守にしても大丈夫なくらい安全で穏やかな土地柄なのだなぁ」と。
 
裏の畑に行ってみると、初老の奥さん(住職さんのお母さんなのだそうです)が、野良仕事中でした。「御朱印を……」と言うと、すぐに降りてきてくださいました。そして、手を洗うと、ご自分で煮たという福豆とお漬物をもってきて、お茶を接待してくださり、いろいろなお話を聞かせてくださいました。鍵なんか掛けたことないそうです。なんだか、古き良きお寺さんのあり方をみせていただいたようで、すごくうれしかったです。
 
むかし、民宿をしていたことがあって、その頃、こちらのお寺で合宿をした受験生たちは団塊の世代だそうです。いまでも便りがあって、集まろうという話もあるとか。このお母さんのお人柄がそうさせるのだろうなぁと思います。すごく素敵な方に出会いました。
  
吉祥寺は承元年間(1207〜10)、武田信光が建て毘沙門天像を安置したことがはじまり。ここは、乾徳山の登山口にあたるそうです。乾徳山はかつて夢窓国師が岩窟にこもって、90日間の座禅したといわれる所です。茅葺の趣のある本堂で、その脇には県指定天然記念物になっている四代目「新羅ザクラ」があります。1948(昭和23)年に倒れた三代目の木は幹囲が310センチあったそうですが、倒れたまま放置してあったら、その倒れた根元から再び芽が出て、成長したのがいまの四代目。幹囲は130センチ余になり、高さは10メートル近くあります。そして根元には倒れた三代目がいまも横たわっていて、これがすごく存在感があります。
 
1564(永禄8)年に武田信玄が朽ちかけた堂を再興したそうですが、欄間に2メートル以上もある大百足が彫刻されているそうです。これは武田百足衆(いまでいう伝令でしょうかね)に、この地域の出身者が多かったことに由来しているとか。そういえば、このあたりはいま、観光的にどこにでも「風林火山」の旗が立てられていますが、このお寺にはそれに加えて百足衆の旗指物が立てられていました。このあたりでは今でも決して百足を殺さないのだそうです。



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2007/09/04  (火) 

普門寺(甲斐霊場第6番)

今回の霊場めぐりは友人のクルマで行ったのですが、これが大きくて、ナビがすっごく古いというシロモノ。この二つの特徴が遺憾なく発揮されたのが、普門寺行でした。
 
古いナビ、たぶんDVDナビだと思うのですが、当然、地図も古いものですから、道路標示を見て走ると、ナビは突然、畑の中で立ち往生したり、川を泳いで?渡ったりしはじめます。そして、詰めが甘いのは最近のナビでもありがちですが、数百メートル手前で「目的地付近に到着しました。案内を終了します」なんて。まだ、県道にいて、これから先の路地が問題なんだけど……。
 
ナビも頭を抱えているらしい小路を大きなクルマで登っていくと、だんだん道が狭くなって、「これって、軽専用じゃない?」「行き止まりだったら、私は死にます!」と冗談を言って……いやいや、ちょっと本気の怯え……いたら、じゃじゃーん、悪夢がそこに。本当にフェンスが張ってあって、行き止まりだったんです。
 
その場で喉をかき切って死んじゃうわけにもいかないので、延々バックです。狭い上に、右側は側溝。右の側溝がなくなったら、今度は左側が側溝。けっこうな水が流れています。清水だけど。だからといって、落ちたくないです! Uターンできる空き地にたどり着くまでに、思いっきり冷や汗かきました。
 
ほうほうの体で広い道まで降りてきて、道路に出ようとしたところで、その路地に入って行こうとする老ご夫妻(たぶん)のクルマと際どくすれ違い、すれ違いざまに思いっきり窓を開けて「すみませーん、普門寺って、このご近所ですか〜?」と叫びました。ご親切な方で、クルマをとめて、「ついていらっしゃい」と。道路に出て思いっきりUターンし(というぐらい、交通量≒0)、お言葉に甘えてついていき、やっと普門寺入り口にたどり着くことができました。
 
妙高山普門寺は曹洞宗 のお寺で、ご本尊は県指定文化財の薬師如来です。行基が病に苦しんでいた人々を救うため薬師如来を刻んで堂に収めたことにはじまるという縁起ですが、後に甲斐源氏の安田義定がこの地に本尊を移したのがこのお寺だとか。義定は1134(長承3)年生まれといいますから、とてつもなく歴史のあるお寺なんですよね。むかしは、この薬師如来が33年ごとに御開帳となる秘仏とされていて、一生に2回見られれば長生きの証といわれ、縁日は大変賑わったそうです。いまは毎年3月に御開帳が行われているそうです。
 お参りは、長い石段の参道から

 
御朱印をいただこうと、「ごめんくださーい」、「こんにちは〜」と呼べど叫べどシーンと静まり返り、扉も固く閉ざされていました。結局、お参りして、写真を撮らせていただいただけで退散。あとで別のお寺の留守番の方にうかがったところによると、この日は近在のお寺の住職さんの会議が招集されていたそうです。行いが悪いと、こういう日にぶつかります(-_-;)
 
また、このお寺は明治から大正にかけて、寺小屋となって、地域の子どもたちの教育を助けていたそうで、いまの住職さんも学校の先生とうかがいました。きっと、近隣の方には大切にされているお寺さんなのだろうなぁと思います。
高台で空気も景色もグッド 

 
御朱印帳、一つ欠けてるなんて気持ち悪いという性格なので(笑)、また、ご近所を通りかかったときにでも御朱印をいただいてこようかと思います。本日の記載、やけに長いですね。すみません(^_^;)



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洞雲寺(甲斐霊場第5番)
恵林寺(甲斐霊場第9番)