ある小説の中に、世界を旅して「何を祀ってあるのかわからないんだけど、地元の人が拝んでいるものには手を合わせることににました。そうしたら、なぜか商売がうまくいくようになったんですよ」というフレーズがありました。SFだし、本筋とはまったく関係ないんだけど、心に残った一節です。そんなわけで(どんなわけで?)、日々の何気ないできごとを綴ってみようかと思います。
2007/11/10  (土) 

承天寺(甲斐霊場第31番)

承天寺へ行くには忍野八海を通ります。が、通り過ぎて、その先のうどんやさんへ。カウンターだけの小さなお店……ではなく、ここは試食カウンターなのです。ガラガラと戸を開けて入った瞬間、「ここは食堂じゃないのよ。わかってるよね?」と言われました。もちろん、わかってます。うわさの「吉田のうどん」を買いに来たのですから。

わかってるならと、目の前に出された試食は、そばとうどん、それぞれ大盛り! お昼時ではありましたが、せっかくだからと全部食べたらめまいがしました(笑) でも、どちらもすごくおいしかったです。そして、うどんと店先の無人売店の1本100円也の泥つき大根を買って、そそくさとトランクへ納めました。駐車場で空を見上げると、すぐそばに大きな富士山。あまり天気はよくなかったのですが、そのときだけは日が差して、本当に美しい冨士の姿を見ることができました。

承天寺は風情のあるお寺です。翌日に薬師様の縁日を控え、参道に番傘か掲げられていて、それが独特の雰囲気をかもしだしているようです。「ごめんくださいと」と声をかけると、お寺の隣にセミナーハウスがあり、地域の老人会の給食サービスをなさっているらしく、お弁当が運び込まれたり、取りに来る方がいたりでてんやわんや。わぁ、申し訳ない時間に来ちゃったなぁ。
 
でも、再訪するわけにもいかないので「語朱印を……」と切り出すと、しばらくして、お寺のご隠居さんでしょうか、80代後半ぐらいの老婦人が出てきてくれました。そして、一度、奥へ引っ込むと、「この辺の漬物だから食べてみて」と沢庵とお茶を持ってきてくれました。この沢庵が塩辛くもなく、ちょうどよく漬かっており、大根の味が生きていて本当においしかったです。山盛りで出してくださったのに、ポリポリ、ポリポリ、漬物好きにはたまりません(^_^;)
  
この方は麻布十番の生まれで、「疎開してきたのが縁で、ここに住み着いたのですよ」とおっしゃっていました。すばらしい自然に囲まれて、人情も温かく、本当によいところですと。しかし、冬の寒さだけはもう大変なものだとか。そうでしょうねぇ、富士山の吹き降しって感じですから。麻布十番のおいしい鯛焼き屋さんやお煎餅屋さんの話に花が咲きました。なんで、ここで?(笑)
 
本堂の前に座っていると、目の前のイチョウがすっかり色づいて、わずかな風にも葉を落としています。楓も色づいています。今年は、黄葉する木の順番が例年と違うそうで、やはり地球はおかしくなっちゃっているのかもしれませんねぇと。そのイチョウの奥に見えるのは、村の文化財にもなっている鐘楼。和唐折衷様式というそうですが、美しい姿です。「行く年来る年」で、こちらの鐘の音が全国に流れたこともあるとか。
  
承天寺はもともとは現在地より山の上のほうにあったそうです。開山は1184(寿永3)年で、当時は長寿山上天寺という名称であったそうな。1521(大永元)年に焼失し、1608(慶長13)年(1608)に再興。そのときに現在の寺名、医王山承天寺に改められたそうです。
  
手水場には清らかな湧き水が流れていますが、この水は7年前の富士山の雪が地下水になって流れてきているものだといいます。なんだか、ロマンがありますね。帰りに「惚け防止のために作ってるのよ」と、千代紙で作った手作りの楊枝入れまでいただきました。すっかり長居してしまった承天寺でありました(^_^;)



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西念寺(甲斐霊場第30番)
新蕎麦